第2巻『京都魔王殿の謎』は、タイトルとおり謎が謎を呼ぶ!
梶原秀夫(ノアズブックス 出版プロデューサー)
壮大な物語の幕開けに相応しい『妖精鬼殺人事件』が発売されて、反響はたいへん好評である。
ミステリーの醍醐味を味わえた、という声を多く聞いた。関係者の一人としては、嬉しい限りである。
第2巻の『京都魔王殿の謎』も、期待を裏切らない。いや、それ以上だろう。
吉村達也氏の「ミステリーの王道をいく」という志が、我々の想像を超えた結末を生み出したのだ。
編集者として驚くというより、一読者として震えるような読後感だった。これはすごい、と思った。
数カ月前に読んだ原稿を、校正で改めて読み直した。読者の驚く顔が目に浮かぶ。
作家は孤独な作業をしている。頼るは、自分の頭脳だけだ。
出版プロデューサーといえども、出来上がったものに意見は言えても、作家が物語を創りだす手助けはできない。
この結末を考えだした作家の頭脳に、敬意を表したい。
この後、第3巻、第4巻、第5巻と続き、ここでSEASONⅠが終わり、QAZの正体が明かされる。
QAZは、この2巻までに登場している。だが、その正体は、読者にも私にもわからない、と作者は強く言う。
この挑戦状に、どう答えるか――。楽しみはつきない。
エンタテインメントのミステリーを届けたいと思う。読み出したら止められないような作品を。
これこそ、まさに吉村達也の真骨頂だ。期待していただきたい。
まずは、謎が謎を呼ぶ『京都魔王殿の謎』をお楽しみください。