Vol.13

リレーノート⑪ 吉村達也の短編やショートショートは切れ味が鋭い!

梶原秀夫(ノアズブックス出版プロデューサー)




月刊のPR誌で、吉村さんにショートショートを連載していただいていたのは、もうずいぶん前のことになりますね。

京都を舞台にした一連のショートショートは、加筆して長編にアレンジされ、『ついてくる』というタイトルで単行本になり、いまは角川ホラー文庫で文庫化されていますが、そこに使わなかった何本かのショートショートは日の目をみていません。

これが改めて読み返してみると、実に面白い。10年近く前の作品なのに、まったく古くないのです。何らかの形で、世の中に送り出したい、と思いました。


吉村さんの作品には、僕が好きな短編集がいくつかあります。なかでも『それは経費で落とそう』(文庫化の時に『丸の内殺人物語』と改題)と『一身上の都合により殺人』はとても好きなもの。

短編集ではありませんが、角川文庫から発売されている、一連の「ワンナイト・ミステリー」シリーズもいいですね。好きです。


こうした作品群を多くの人たちに読んでもらうにはどうしたらベストか、真剣に考えています。もちろん、吉村さんの了解が大前提ですが……。


こう書くと、ほとんどの人は「電子書籍」と思われるかもしれません。確かに、それも選択肢のひとつですね。

2012年は、魔界百物語シリーズだけでなく、久しぶりに短編やショートショートを読んでみたいな、最初の読者として。