Vol.15

リレー・ノート⑬ 将棋が好きな二人の名人戦
梶原秀夫(ノアズブックス出版プロデューサー)



暮れも押し詰まり、部屋の大掃除をしていたら、懐かしい写真が出てきました。僕が旅館の浴衣姿で、将棋盤を前にして考え込んでいます。

これはおそらく、鶴巻温泉の旅館「陣屋」に宿泊したときのもの。対局者はもちろん、宿敵・吉村達也です。



もう20年くらい前でしょうか。どうせなら、名人戦が行なわれた旅館に泊まって、将棋を指そう、ということになったのです。二人だけの名人戦です。

吉村さんは、詰め将棋の世界ではプロ級の腕前ですが、指し将棋なら僕といい勝負でした。勝ったり負けたり……。


勝敗はともかく、こうした旅ができたことが、素敵な思い出になっています。

北海道バスツアーに二人で行ったときなどは、参加者はみんな男女のカップルの中、僕らだけは男と男。

「きっと、僕らはホモだちだと思われてるね」

そう言って笑いあったのは、つい先日のような気がします。まさに、光陰矢のごとし。

2011年も残りわずかとなり、部屋掃除から懐かしい写真と再会したことで、いろいろなことを思い出したクリスマスイブです。この思い出は、サンタクロースのプレゼントかもしれません。