『ヒマラヤの風にのって』新刊発売のお知らせ



作家・吉村達也の最後のノンフィクション・エッセイが、 角川書店より7月31日発売が決定致しました。

吉村達也が最期の日の直前まで書き続けた「ヒマラヤノート」。そこには人生を閉じようとする者、愛すべき家族への力強いメッセージが記されています。本書は闘病の経過と彼が伝えたかった思いが込められた1冊です。

詳細は吉村達也・公式Webサイトまで:
http://www.yoshimura-tatsuya.com/

また、魔界百物語につきましては、現在、続編などに関しましては未定となっております。ご愛読者の皆様のためにも、良いご報告ができるよう、スタッフ一同、精一杯の努力をし続けております。何か進展があった場合は随時こちらのサイトにて、情報を発信させて頂きます。これからも、どうぞよろしくお願い致します。

新刊のお知らせ


みなさま、長い間ご無沙汰しておりました。

魔界百物語ではありませんが、吉村達也氏の新刊が7月下旬、角川書店から発売が決まりました。
タイトルは『ヒマラヤの風にのって』です。
詳しいことが決まり次第、追ってこのサイトでも告知させて頂きます。

魔界物語の第4巻は、まださまざまな可能性を模索しているところです。
第1章は出来上がり、第2章の書き出しの原稿もあります。なんとか代筆者を立ててでも、完成させたいと思っているのですが、吉村さんの思い描いていた筋書き通りにちゃん書けるかどうか、それだけが心配です。そうなるとなかなか思い通りにはいかないのが現状です……。
先日、九州にお住まいの、愛読者の方からお電話をいただきました。心配されている読者のみなさまも多いかとおもいます。みなさまのためにもなんとかしたいというおもいでいっぱいです。魔界百物語に関しまして、吉村さん自身も、ライフワークだと生前に言っておりました。どのようなかたちでも、きちんと決着はつけたいと思っております。もうしばらくお時間をください。

それと平行して、新刊の発売が決まりました。
吉村さんが病床で自ら書いた原稿、私がインタビューした口述筆記の原稿、そして取材ノートに書いていた二十二日間の記録などで構成した本です。

1997年に『がん宣告マニュアル 感動の結論』(発売元アミューズブックス/2002年に『こころのクスリ箱〜いのちのエピローグ』と改題)という精神衛生本を上梓した吉村さん、今回の『ヒマラヤの風にのって』は、あれほど嫌っていた口述筆記をしてまで、遺したかった一冊です。彼の最後のおもいがこもった一冊です。
末期の進行性胃がんで、短い入院生活でしたが、自分がガンに罹って気がついたこと、考えたことを、一冊の本として遺したい。吉村さんの思いが伝わってくる一冊に仕上がるかと思います。

きっと吉村さんも喜んでくれる、吉村さんならではの本に仕上がったと自負しております。

これからのことは、吉村さんの公式HPはもちろん、同時にこの魔界百物語のサイトでもお伝えしていくつもりです。そして、私自身のノアズブックスのブログでも、吉村さんとの思い出話を書いていこうかな、と考えているところです。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。

梶原秀夫(株式会社ノアズブックス出版プロデューサー)

吉村達也お別れの会のお知らせ


吉村さんの葬儀日程が決まりました。故人の希望で「お別れの会」とします。

スケジュールは以下の通りです。

●お別れの会① 5月18日(金)18時00分より

●お別れの会② 5月19日(土)11時00分〜12時00分

●場所 平安祭典 深川会館(東京都江東区森下5−9−5)

土曜日は、時間が限られていて、12時には出棺となります。

ここに謹んで故人の冥福をお祈りいたします。


なお、現段階では、魔界百物語は未完で終わらざるを得ないと考えています。

QAZの正体、魔界百物語の構想については、本人が語り残していますので、何らかの形でみなさんにお伝えしたいと思っています。

すでに、4巻の第1章は書き上がっています。

吉村さんは最期まで、「ベッドの上で、直筆で書く」と言っていました。少なくとも、4巻のつづきはできるところまで書きたい、と。

それが叶わなかったのが残念です。無念としか言いようがありません。

どういう形にしていくか、もうしばらく時間をいただきたいと思います。よろしくお願いします。


株式会社ノアズブックス 出版プロデューサー
梶原秀夫

訃報のお知らせがあります。

突然の訃報です。2012年5月14日午前10時34分、吉村達也氏が永眠されました。

吉村さんが自身のHP用に書き残していた遺書を掲載します。

「みなさん、こんにちは。
長らくごぶさたしておりました。
突然ですが、私はこの度、死んでしまいました。
なお、QAZの正体、魔界百物語の真相、私の葬儀の段取りなど、
詳細については後日お知らせ申し上げます。」

無念です。志半ばにして、吉村さんは天国へ旅立ちました。これからのことにつきましては、後日お知らしたいと思います。
ただただ、驚くばかりです。心よりご冥福をお祈りいたします。合掌。


株式会社ノアズブックス 出版プロデューサー
梶原秀夫

今後のスケジュール

メインのブログにも書きましたように、一週間ほど更新をお休みさせていただこうと思います。

魔界百物語の第4弾は5月に待ち構えています。

そのあたりのニュースは、追ってお知らせします。

Vol.19

「神」に近づく対照的な2アプローチ

吉村達也

(この記事はブログ本体にも同じものをアップしています)

「魔界百物語」の3『幻影城の奇術師』が発売になった。

通常の……という言い方も妙だが、新生・氷室想介の「魔界百物語」が、通常のミステリー的テーマの装い「のみ」で構築されるのは3までである。

4からは、それまで、たんなる「雰囲気作り」にしかみえなかった『陰陽大観』という謎の奇書の重要な側面が徐々に表に立っていく。



魔界百物語3 SEASON Ⅰ「幻影城の奇術師」発売告知

魔界百物語3 SEASON I
幻影城の奇術師』 13日(本日)発売

 

吉村達也 書き下ろしミステリー第3弾
 
氷室想介は最愛の人を守れるのか!?

定価:本体1,400円+税 / 四六判ソフトカバー・単行本・368ページ

マジックかトリックか? 
川井舞が巻き込まれた戦慄の殺人!
彼女の運命は氷室想介にゆだねられた……

あらすじ
氷室想介の求愛を虚しく待ちつづけ、ついに彼のもとを去ったアシスタントの川井舞。
失意の彼女は国際的マジシャンとして活躍するノブ・オダと婚約した。
だが、その彼に突然浮上した22年前の一家惨殺事件の犯人疑惑。
しかも唯一の生き残りである女性カウンセラーが、ノブの訪問を受けた直後に変死体で発見!

追いつめられた奇術師は婚約者の舞に告げた。
「ぼくには、うり二つの弟がいるんだ」。
真実か、嘘か。精神分析医・氷室想介と幻影城の奇術師の心理戦がはじまった!


著者 吉村達也
制作/編集 株式会社 ノアズブックス
発売 株式会社 飯塚書店


カタログNo.3 で「プロローグ」と「第一章」が読めます!
なお、カタログでのレイアウトは実際の本とは異なります。

携帯でも読めます!:
公式携帯サイト

『幻影城の奇術師』壁紙




※ 左クリックでファイルが開きます。ダウンロードするには、右クリックでファイルを保存してください。

※Mac OS Xをご使用の方は「システム環境設定」→[ディスプレイ]にて確認できます。

● 壁紙の設定方法(windows)
※Mac OS Xをご使用の方は「システム環境設定」→[デスクトップとスクリーンセーバー]にて変更できます。

Vol.18

『幻影城の奇術師』は映像が浮かぶ小説だ!

梶原秀夫(ノアズブックス 出版プロデューサー)



実は、吉村さんとは映像化を前提に企画書とシノプシスを作ったことが二度あります。

どちらも面白かったのに、実現できなかったのは今思い返しても残念でなりません。タイトルだけでもあげておくと……。

たしか「一度目は練習結婚」と「幸せな家庭」だったように記憶しています。どちらも、ドラマを見たくなるタイトルだと思いませんか。



ところで、主人公がいつまでも歳をとらないシリーズものが大半を占める中、今回の「魔界百物語」シリーズは、主人公が時代とともに生きていきます。

ですから、氷室想介は1月1日の誕生日で48歳になりました。ひとつ歳をとったわけです。

こういう設定の小説シリーズは、チャレンジ精神旺盛な作家・吉村達也ならではのことでしょう。



この試みが画期的であるだけに、映像化が実現すれば面白いのですが……。

主人公の氷室想介に扮する役者が視聴者と同じ時代を生きて、同じように歳を重ねていくのですからね。見たいですよね、そういうドラマを!



いま、ふと気づきました――。

このシリーズは、作者にとっても、関係しているスタッフにとっても、そして読者のみなさんにとっても、時代を共に生きていた証となる本なのですね。

何年かたって読み返したとき、自分史と重ね合わせて、様々な思いが広がっていくに違いありません。

Vol.17

第3巻『幻影城の奇術師』は、良質のエンタテインメント・ミステリー!

梶原秀夫(ノアズブックス 出版プロデューサー)



カタログNO.3の「プロローグ」をお読みになった方は、この意表をつく出だしに驚かれたのではないでしょうか。僕も正直、びっくりしました。

いきなりグランドキャニオンから始まるとは……。しかも、新名所スカイウォークをしっかり取り上げているところは、さすが吉村達也です。

聖橋博士の蘊蓄(うんちく)にも驚かされますが、高所恐怖症の僕でも、またグランドキャニオンに行ってみたいと思いました。



さらに、いいところは大自然のグランドキャニオンのそばにありながら、好対照の人工都市ラスベガスを舞台にもってきているところです。

ラスベガスには一度しか行ったことはありませんが、ギャンブル好きの僕がまったくギャンブルをしないで、ショーばかり見ていたので、同行した家人が驚いたほど。

昼間は宿泊したホテル・ベラージオのプールサイドにあるカバナで過ごし、夜はショー三昧の日々。大好きなマジシャンのランス・バートン、シルクドソレイユの原点とも言うべき「ミステール」、ステージが一瞬のうちに巨大なプールになる「O(オー)」などなど……。もう一度行きたいラスベガスです!



 

だからというわけではないのですが、今回の主要登場人物がそこで定期公演をしているイリュージョニストという設定には、僕自身、本当に興味をもちました。 

このノブ・オダという名前がいい。メジャー感があります。カバーのイラストがその彼というのも驚きを超えて、吉村マジックに思う存分酔いしれました。



今回は、氷室想介最愛の人である川井舞が事件に巻き込まれてしまうのも、見どころというか、読ませどころのひとつになっています。この後、氷室と舞の関係はどうなっていくのか……。

いくつもの謎を散りばめながら、物語が進んでいくと、読み手としては途中で止めることができません。この本の最初の読者として、本文の校正をしていた僕は、まさしくそうでした。



幻影城の奇術師ノブ・オダのイリュージョンを見てみたい!

この作品こそ、エンタテインメント・ミステリーと呼ぶに相応しい! 

僕がそう思ったように、読了後、同じ思いを抱く人が多いことでしょう。

Catalog No.3

「魔界百物語」作品紹介カタログ  No.3


【目次】
・P1   「魔界百物語3」SEASON I『幻影城の奇術師』
・P3   『幻影城の奇術師』プロローグ
・P12 幻影城の奇術師』第一章
・P19 「魔界百物語4」SEASON I『殺人者の舞踏会』発売告知


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Vol.16

リレー・ノート⑭ 流氷とカニの食べ放題バスツアー
吉村達也



前回、梶原さんが文章の中でふれた「北海道バスツアー」というのは、二泊三日で北海道の知床へ冬の流氷を見にいくバスツアーでした。

もちろん東京から北海道までは飛行機です。向こうに着いてからはバスでの移動でしたが、これは『知床温泉殺人事件』を書くための取材旅行。

あえて激安バスツアーというものを取材してみようということで梶原さんを誘ったわけですが、いきなり初日に連れていかれた某湖のそばの某温泉旅館の「カニの食べ放題」は印象的でした。

よくもまあ、こんな中身がスカスカのカニばかり集められたな、と(笑)。これならカニの食べ放題つきの激安ツアーが成立するわけだと納得でした。



ところで、ちょっと話が飛びますが、道頓堀の「かに道楽」は、あの動くカニの看板で知られるご当地のシンボルですが、同店には「網元」という「かに道楽の奥座敷」というキャッチフレーズで呼ばれる別ブランドがあり、これは、たとえば焼肉の「叙々苑」と「游玄亭」の関係に相当する、ワングレード上の店でして。

「網元」の方が「うちは『かに道楽』よりワンランク上のカニを使っています」と胸を張っておっしゃるとおり、たしかに「かに道楽」もたいへんおいしいけれど、「網元」は味だけでなく、ホスピタリティも含めて、一段上をいくことは間違いなし。

網元は大阪だけ(心斎橋)に本館と別館がありますが、東京にもできるといいですね。



話が脱線しましたが、北海道某所でのカニ体験は、まさにその正反対をいくもので、これで私も梶原さんも、「カニ食べ放題」には安易に手を出すなという教訓を得たわけです(笑)。

実際、北海道まできたら、安くておいしいカニが市場にいくらでもあるわけで、なにもわざわざスカスカ食べ放題にいくこともなし。



さて、このツアーの目玉である砕氷船「がりんこ号」に乗って流氷の海に繰り出す体験はすばらしいものでした。

暖冬で、年々流氷ツアーもスケールダウンしているそうですが、やがてこれも失われゆく過去の風景になるのかもしれません。

Vol.15

リレー・ノート⑬ 将棋が好きな二人の名人戦
梶原秀夫(ノアズブックス出版プロデューサー)



暮れも押し詰まり、部屋の大掃除をしていたら、懐かしい写真が出てきました。僕が旅館の浴衣姿で、将棋盤を前にして考え込んでいます。

これはおそらく、鶴巻温泉の旅館「陣屋」に宿泊したときのもの。対局者はもちろん、宿敵・吉村達也です。



もう20年くらい前でしょうか。どうせなら、名人戦が行なわれた旅館に泊まって、将棋を指そう、ということになったのです。二人だけの名人戦です。

吉村さんは、詰め将棋の世界ではプロ級の腕前ですが、指し将棋なら僕といい勝負でした。勝ったり負けたり……。


勝敗はともかく、こうした旅ができたことが、素敵な思い出になっています。

北海道バスツアーに二人で行ったときなどは、参加者はみんな男女のカップルの中、僕らだけは男と男。

「きっと、僕らはホモだちだと思われてるね」

そう言って笑いあったのは、つい先日のような気がします。まさに、光陰矢のごとし。

2011年も残りわずかとなり、部屋掃除から懐かしい写真と再会したことで、いろいろなことを思い出したクリスマスイブです。この思い出は、サンタクロースのプレゼントかもしれません。

魔界百物語2 SEASON Ⅰ「京都魔王殿の謎」発売

魔界百物語2 SEASON I
『京都魔王殿の謎絶賛発売中!
 


吉村達也 書き下ろしミステリー第2弾
 
謎が謎を呼ぶ「魔界百物語」新たな展開へ
この結末は想像を越えている。

定価:本体1,500円+税 / 四六判ソフトカバー・単行本・416ページ

鹿堂妃楚香の予言のとおり、人の手首が山中で見つかった!
京都で起こった奇怪な事件ーー 氷室想介の推理が真相に迫る!

あらすじ

美しすぎる超能力者・鹿堂妃楚香は、自らが主催する京都魔界ツアーで、人の手首が出現すると宣言。
予告どおり女の手首が「猿」の手首とともに、鞍馬天狗ゆかりの山中に建つ「奥の院魔王殿」付近で見つかった。
警察は事件の容疑者を逮捕したが、こんどは嵐山の渡月橋で殺人事件が発生! 
またしても背後に謎の人物QAZの存在を感じながら、精神分析医・氷室想介は、誰もが予想しなかった惨劇のすさまじい真相にたどり着いた!


著者 吉村達也
制作/編集 株式会社 ノアズブックス
発売 株式会社 飯塚書店

カタログNo.2で「プロローグ1」と「プロローグ2」が読めます!

携帯でも読めます!:公式携帯サイト

京都魔界ツアー⑰

⑰「苦」を抜く釘抜地蔵



釘抜地蔵(くぎぬき・じぞう)は、正式名称を石像寺(しゃくぞうじ)という。

前世の罪を背負って手の病に苦しんでいた商人が、地蔵菩薩によって、その手のひらから二本の釘を引き抜いてもらい、苦しみから解放された――

といういわれに従い、いつもここには、なんらかの苦しみを背負った人々が、魔界からの脱出を願って訪れる。



写真は、釘抜地蔵特有の絵馬で、二本の釘と釘抜きがセットになった、かなり手の込んだものとなっている。

Vol.14

リレーノート⑫ ショートショートと長編の違いはなにか
吉村達也



ショートショートと長編の違いはなにか、と、それぞれの作家にとって問いかけたら、きっといろいろな答えが返ってきて面白いだろう。

おそらく、多くの回答として「オチの切れ味」の重要性が語られるのではないかと思う。あるいは「人物の描き方の濃度」というところに違いをみる作家もいるだろう。

それはそのとおりだが、それらは読者にも理解してもらえる違いだ。

だがもうひとつ、書き手の側だけに感じる決定的な差異を、ぼくはショートショートと長編小説の比較にみることができる。



それは、ショートショートには「映像製作現場的な割り切り」が許され、昔は長編小説もそのノリでよかったのだが、最近の長編小説では(とくにミステリーでは)それが許されない傾向にある、という点にある。



テレビや映画の場合、それがどんなに長尺物であっても、本筋と直接関係のないところまで論理的整合性を持たせる必要はない、という暗黙の了解がある。

一方、長編推理では、どこまでそれを詳しくフォローするかという点に神経をつかうところがある。



たとえば町中にあふれている監視カメラ映像の存在を抜きにしてストーリーを展開しても、本筋が面白ければそれで許されるのが映像作品で、小説ではすぐにツッコミが入る(苦笑)。

凶悪犯人が人質をとって籠城したとき、映像作品なら「トイレはどうするのか」という細かい問題は映像的にもきたないし省いてよいことになっているし、食事の問題さえ描かなくてもいい。

クリスティやクイーンの時代は小説もそれでよかったが、現代の長編小説はそうはいかない(現にぼくの『トリック狂殺人事件』や『王様のトリック』などでは、逆に積極的にそういった問題を取り込んでいるが)。



でも、ショートショートなら映像作品のように、細かいことなしでオチに集中できる。

そういう意味での開放感はあるわけですね。作り手側からすれば。

Vol.13

リレーノート⑪ 吉村達也の短編やショートショートは切れ味が鋭い!

梶原秀夫(ノアズブックス出版プロデューサー)




月刊のPR誌で、吉村さんにショートショートを連載していただいていたのは、もうずいぶん前のことになりますね。

京都を舞台にした一連のショートショートは、加筆して長編にアレンジされ、『ついてくる』というタイトルで単行本になり、いまは角川ホラー文庫で文庫化されていますが、そこに使わなかった何本かのショートショートは日の目をみていません。

これが改めて読み返してみると、実に面白い。10年近く前の作品なのに、まったく古くないのです。何らかの形で、世の中に送り出したい、と思いました。


吉村さんの作品には、僕が好きな短編集がいくつかあります。なかでも『それは経費で落とそう』(文庫化の時に『丸の内殺人物語』と改題)と『一身上の都合により殺人』はとても好きなもの。

短編集ではありませんが、角川文庫から発売されている、一連の「ワンナイト・ミステリー」シリーズもいいですね。好きです。


こうした作品群を多くの人たちに読んでもらうにはどうしたらベストか、真剣に考えています。もちろん、吉村さんの了解が大前提ですが……。


こう書くと、ほとんどの人は「電子書籍」と思われるかもしれません。確かに、それも選択肢のひとつですね。

2012年は、魔界百物語シリーズだけでなく、久しぶりに短編やショートショートを読んでみたいな、最初の読者として。

Vol.12

リレーノート⑩ そういえば短編を…
吉村達也



そういえば前回のリレーノートで、梶原さんの文章に「ショートショート」ということばが出ていましたが、懐かしいひびきです。

短編とかショートショートを書かなくなって10年になりますね。

意図的に、そういう方向性にしたんですが、また書きはじめてもいいかな、なんて思いました。

どうですかね、梶原さん。

Vol.11

リレーノート⑨ 海外の取材先でも、夜は原稿書きに徹する吉村達也に驚く!
梶原秀夫(ノアズブックス出版プロデューサー)



旅といえば、吉村さんと海外に出かけたのは、1997年の香港、2000年のシアトルからサンフランシスコ、この2回。

香港返還の話は、旧作の『京都魔界伝説の女』で、吉村さん自身が書いていますので、今回はアメリカの旅の話を少しだけ。




シアトルでレンタカーを借りて、フェリーでオリンピック半島に渡り、目指すはオリンピック国立公園。

公園といっても、町にある公園とは訳が違います。広大なスケール。どれだけ広いかは、きっと吉村さんが解説してくれるはず。


公園内にあるホテルLake Crescent Lodgeの部屋には、電話もテレビもありません。名前の通り、湖畔にたたずむホテルです。



夕食前から、吉村さんは執筆に取りかかりました。乗ってきているのか、夕食もいらない、書き続けたい、と言います。その決意の表われが、ワープロの持参です。

仕方なく、ホテル内に唯一あるレストランでひとりきりの食事。英語はあまり得意でないし、味気なかったなあ……。

なんとかウェイトレスのお嬢さんに無理を言って、鳥料理をテイクアウトして帰ると、吉村さんは一心不乱に執筆。




夜も更けてきたとき、窓を開けると、目の前の庭を鹿の親子がちょうど横切っていきました。これには本当にびっくり。ホテルの庭ですからね。

大きなツインベッドの部屋で、吉村さんは執筆を続行、私はベッドで就寝。

そこへ2泊したのかな。夜はとにかく書き続ける吉村達也でした。



シアトルのホテルで1泊した翌日、飛行機でサンフランシスコに飛び1泊。この2泊は、別々のシングルルーム。このとき、やっと執筆は終了したようです。

次の日は、今回のもうひとつの目玉、ヨセミテ国立公園。ここで2泊して、サンフランシスコに戻って1泊。



僕はヨセミテで熱を出してしまい、吉村さんにひとりぼっちの夕食を味わせてしまったのは心苦しいことでしたが、2つの国立公園への旅は楽しかったですね。

ここを舞台にした、ショート・ミステリーと紀行文をPR誌に発表していますが、これもいつかお見せしたいですね。

京都魔界ツアー⑯

⑯伏見稲荷の千本鳥居
京都の主要観光地は、新幹線・在来線の線路で南北に分けられる京都駅の北側に集中している。

現在の鉄道線路は、九条まであった平安京・東西路の、七条と八条のあいだを走っている。だから古都がらみのビュースポットが駅の北側に集中するのは必然だ。

最高権力者の住まいである内裏(だいり)も、平安京の最北端にあった。

そんなわけで、京都観光といえば、なにかと駅の北側へ目が向きがちだが、南側にも見どころはいろいろある。

その代表的存在が伏見稲荷大社。全国数万の稲荷神社の総本社である。



ここは稲荷山全体が信仰の場所となっており、山頂に向かう参道には、ごらんのとおり朱塗りの鳥居が延々とつづいている。

千本鳥居というが、実際には五千基以上ある。

この朱塗りの中に入ると、なんとも不思議な雰囲気である。



ぼくは四季の中では冬の伏見稲荷が好きだ。最寄り駅から境内に向けて連なる店々の軒先から、スズメを焼いている煙が立ちのぼっているが、それがいちばん似合うのが冬の時期だからかもしれない。

稲荷(いなり)は「稲成り」からきていると言われるように、日本人の主食である稲(=コメ)の豊作を祈願するために秦氏(はたし)がこれを創建したと伝えられる。

したがって稲を食い荒らすスズメは、あわれ焼き鳥のターゲットにされるのであった。スズメにとっては、じつに迷惑な話である。