京都魔界ツアー⑧

⑧浮かび上がる淀君の怨霊
















方広寺の鐘は、ふだんは真下まで立ち入ることはできない。だが、15年前に実際に行なわれた魔界ツアーでは、鐘の真下まで入らせてもらうことができた。

そのときの松木さんのガイドさながらに、作中では魔界案内人・一柳次郎がこう語るのだ。



「みなさん、淀君はごぞんじですね。そうです、秀吉の側室であった女性で、秀頼を産んだことで権勢を握るのですが、大坂の陣の敗戦で、我が子秀頼とともに自刃いたしました。

その淀君の亡霊の姿が、この鐘の裏側に浮かび上がっているのです。

ふだんは柵に囲まれており、中には入れないのですが、本日は鹿堂妃楚香先生が淀君の浮かばれぬ霊を慰めてくださいますので、特別に開けていただき、私たちは鐘の真下までもぐりこんで観賞できるのです。さあ、それでは鹿堂先生といっしょに、中に入りましょう」



写真の白い円で囲んだ部分に、なるほど淀君の横顔が浮かび上がっているではないか……。