Vol.7

2つの顔を持つ吉村達也!? リレーノート⑤
梶原秀夫(ノアズブックス出版プロデューサー)



突然、変な表題ですが、別に吉村さんがジキルとハイドというわけではありません。

ただ、吉村さんと仕事をした編集者は、2人の「吉村達也」と出会うのではないでしょうか。

ひとりは作家の吉村達也、もうひとりはプロデューサーの吉村達也——。



もちろん、どちらも吉村さんの実像なのですが、どうも打ち合わせをしているときの吉村達也は、作家というよりプロデューサーのような気がしてしかたがありません。

自分が作者なのに、まるでプロデューサーのような発言をするときがあります。たとえば……



「こういう文学的な表現は、作家・吉村達也には合わないよね」

「作家・吉村達也がラジオやテレビに出るのは、やめたほうがいいと思ってる。元いた職場だから、なにを求められているかがわかりすぎて、つい、サービス精神を出しすぎて、よけいなことをしゃべってしまいそうで、パブリシティには逆効果」

「この内容でいきましょう。大丈夫、書かせますよ、作家の吉村達也に」

「英語に翻訳するなら、それなりに日本語を書き直さないとダメだと思う。作家としては大変だけど、いまの小説をそのまま英訳しても伝わらないし」



……などなど、実際に吉村さんがこの通りに話したわけではありませんが、とてもプロデューサー感覚にすぐれた人であることは確かです。

そんな吉村さんだから、企画の話をしているときは本当に楽しい。あっという間に時間がたってしまいます。吉村達也の頭の中は、ほんと、アイディアの宝庫です。

面白い企画はいくつもあります。テレビ局の人間に盗まれた企画もありました。僕の力が及ばず実現できなかった企画もあります。まだ発表できない企画も……。



そして、僕はもうひとつの吉村さんの顔も知っています。それは、マジシャンとしての吉村達也。これも凄い!

あっ、まだあります。とても剽軽なほろ酔い気分の吉村達也。これは楽しい!

どの顔も、みんな吉村達也その人——。



このプロダクションノートで、いろいろな吉村達也を紹介したいと思います。もちろん、本人の了解をとったうえですけど。