2つの顔を持つ吉村達也!? リレーノート⑤
梶原秀夫(ノアズブックス出版プロデューサー)
突然、変な表題ですが、別に吉村さんがジキルとハイドというわけではありません。
ただ、吉村さんと仕事をした編集者は、2人の「吉村達也」と出会うのではないでしょうか。
ひとりは作家の吉村達也、もうひとりはプロデューサーの吉村達也——。
もちろん、どちらも吉村さんの実像なのですが、どうも打ち合わせをしているときの吉村達也は、作家というよりプロデューサーのような気がしてしかたがありません。
自分が作者なのに、まるでプロデューサーのような発言をするときがあります。たとえば……
「こういう文学的な表現は、作家・吉村達也には合わないよね」
「作家・吉村達也がラジオやテレビに出るのは、やめたほうがいいと思ってる。元いた職場だから、なにを求められているかがわかりすぎて、つい、サービス精神を出しすぎて、よけいなことをしゃべってしまいそうで、パブリシティには逆効果」
「この内容でいきましょう。大丈夫、書かせますよ、作家の吉村達也に」
「英語に翻訳するなら、それなりに日本語を書き直さないとダメだと思う。作家としては大変だけど、いまの小説をそのまま英訳しても伝わらないし」
……などなど、実際に吉村さんがこの通りに話したわけではありませんが、とてもプロデューサー感覚にすぐれた人であることは確かです。
そんな吉村さんだから、企画の話をしているときは本当に楽しい。あっという間に時間がたってしまいます。吉村達也の頭の中は、ほんと、アイディアの宝庫です。
面白い企画はいくつもあります。テレビ局の人間に盗まれた企画もありました。僕の力が及ばず実現できなかった企画もあります。まだ発表できない企画も……。
そして、僕はもうひとつの吉村さんの顔も知っています。それは、マジシャンとしての吉村達也。これも凄い!
あっ、まだあります。とても剽軽なほろ酔い気分の吉村達也。これは楽しい!
どの顔も、みんな吉村達也その人——。
このプロダクションノートで、いろいろな吉村達也を紹介したいと思います。もちろん、本人の了解をとったうえですけど。